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フェルデンクライス・メソッドの資料

フェルデンクライス体験 -出会いと発見5-
フェルデンクライス・メソッドとATMレッスンの資料について

モーシェ・フェルデンクライスの著作
 私がフェルデンクライス・メソッドに出会ったのは、1974年の終わり頃のことですから、かれこれ35年前になります。出会いと言っても、モーシェその人にではなく、その著作に出会ったわけで、そのあたりの事情については、すでに書きましたから重複を避けますが、一つの読書体験が人を大きく揺り動かすことは、一生のうちそれほど度々あることではないだろうと思います。私自身振り返ってみても、書物によって自分が大きく変えられたとはっきり思える体験は、片手の指で数えられるほどしかありませんが、モーシェ・フェルデンクライス(1904-1984)の著作 Awareness Through Movementを読んだことは、中でも一二を争うぐらいの重みを持っているような気がしてなりません。彼の著書のタイトルを刊行順に上げると次のようになります。
1. Body and Mature Behavior (1950)
2. Awareness Through Movement (1972)

 『フェルデンクライス身体訓練法』(大和書房1982)
3. The Case of Nora (1977)
 『脳の迷路の冒険』(壮神社1991)
4. The Elusive Obvious (1981)[翻訳中]
5. The Master Moves (1984)
 『心をひらく体のレッスン』(新潮社1988)
6.The Potent Self (1985)
 柔道についての著作が3種ありますが、フェルデンクライス・メソッド関係の著作は以上の6点で、他にインタビューや短文をまとめたものが1点あります。

 1. の『身体と成熟した行動』ですが、これには「不安、セックス、重力、そして学習についての研究」という副題がつけられています。フェルデンクライスは若いときにサッカーで膝に重傷を負い、あらゆる医療機関に見放された末、ついに独力でそれの治療に成功しました。それがフェルデンクライス・メソッドを生み出すもとになったことは、余りにも有名です。本書ではその過程での研究をもとに、人間の身体の動きと神経系の関係について科学的な考察を展開したものです。これを著した当時のフェルデンクライスはまだ物理学の専門家として働いていました。学者としてはジョリオ・キューリーの研究所で助手として働いたり、第2次大戦中にはイギリスで潜水艦探知装置「ソナー」を開発したりと、その方面でもかなり注目される存在でした。
 心と身体が二つの別々のものではないということは、今日広く認められるようになってはきましたが、身体的な側面と性格との関係、筋肉運動や姿勢のパターンと心理的・精神的側面の相互関係については、まだ研究はきわめて不十分な状態にあるようです。フェルデンクライスのこの書物は、その問題に真正面から取り組んだ先駆的な労作です。
 フェルデンクライスは人間が動物の中でも二つの点でユニークな存在であるというところに着目します。その一つは、唯一直立歩行する動物だという点です。もう一つは、一人前になるまでに、親と社会から長期間にわたって学習しなければならないという点です。フェルデンクライスはこの二つの要因を詳しく分析し、姿勢や身体の動きと心理的・精神的な状態との深い関係を立証しています。
 生理学、神経学、心理学等の専門的な用語が頻出するので決して読みやすくはありませんが、理知的・客観的な叙述からも、未知の分野を開拓しようとする情熱がひしひしと伝わってきます。フェルデンクライス・メソッドの土台を知るには欠かすことのできない必読文献でしょう。
 2. はフェルデンクライスの最も広く読まれている啓蒙的な著作で1970年代の初頭に彼が初めてアメリカを訪れて開いたワークショップが元になっています。メソッドの実体を理論と実践の両面から周到に説いた名著と言っていいでしょう。私自身この本を読みながら時間をかけてレッスンを試みたのが実質的には最初のフェルデンクライス体験でした。
 3. 脳血栓のため読み書きの能力を失い運動障害に陥った一人の女性ノーラは、あらゆる医療機関から見放され、最後の手段としてフェルデンクライスの元にやってきます。この本では、ノーラが徐々に回復する過程を事実に沿って記述したものですが、成功と失敗を積み重ねながら、次第に事態の本質を発見してゆくプロセスは、まるで推理小説を読んでいるような興奮を与えてくれます。また模索の過程で行われる理論的な考察はきわめて刺激的です。
 4. はフェルデンクライスが生前に完成した最後の著作です。タイトルは『この曖昧にして明瞭なるもの』というような意味になります。1.の内容を引き継ぎ、その後の関連諸科学の先駆的な知見を参照しながら、メソッドの土台に新しい光を当てた著作で、まさに遺作と呼ぶに相応しい重要な作品です。フェルデンクライス・メソッドの発展過程についても詳しく述べられているので実に興味深いものがあります。
 5. はアメリカのある農場のアットホームな雰囲気の中で集中的に行われたワークショップの録音を元に、レッスンの模様を忠実に活字で再現したものです。エネルギッシュでユーモアに富んだモーシェのレッスンぶりが実際にどんなものであったかがよく分かります。それに話し言葉で語られる理論的な考察は理解しやすいものがあります。
 6. 5.と同じくフェルデンクライスの死後に発行されました。これは1949年に刊行された1.に前後して、一般読者を対象に啓蒙的に書かれた文章を集めたものです。内容は1.のそれにほぼ並行していますが、さらに詳しく具体的です。2.の圧縮された表現スタイルに比べ、きわめて能弁に語っています。フェルデンクライス・メソッドの土台をよりよく理解するためには是非とも読んでおくべきでしょう。

レッスンCD&DVDなど
 私がレッスンを始めた当時はまだCDもDVDもない頃で、カセットテープとビデオテープの時代でした。ナボンさんのワークショップ以外では、Feldenkrais Resources から取り寄せたテープによるATMレッスンが、貴重なフェルデンクライス体験となりました。めぼしいものはその都度取り寄せてきたのですが、その中から重要だと思われるものをいくつか選んでみます。まずモーシェ・フェルデンクライス自身のものから。
1. Awareness Through Movement Basic Series[CD]
これはモーシェの著書②のレッスンを自ら録音したもので、10種のレッスンが収録されています。数あるCDのうちでも必須のものでしょう。
2. The San Francisco Evening Class Vol.1, 2, 3[CD]
フェルデンクライスがアメリカで初めて行った指導者養成コースのかたわら、一般向きに週2回の割合で開いたATMクラスのライブ版です。全3巻で計32種のATMが収録されています。録音状態は良好です。初心者にも経験者にも最適で、指導者にとっても有益なATM集となっています。
 モーシェのものは他にBerkley 1973, San Francisco1981, Advanced Seminar Dallas 1981, 1981 New York Quest Workshp など多数あり、それぞれきわめて貴重なものですが、録音状態は必ずしも良好とは言い難いです。
またモーシェ以外の指導者たちのCDは最近の目録によると実に多数多彩で、どれを選ぶかは難問です。私自身体験したものから一つだけ選ぶとすれば次の1点になります。
3. Rythy Alon: The Grammar of Spontaneity Vol.1&2
 ルーシー・アーロンは Bones for Life で日本でもよく知られるようになりましたが、これは私自身もっとも影響を受けたATM集です。非常に繊細で柔軟な想像力をもって未知の世界へ案内してくれます。またルーシー・アーロンには彼女自身によるATMのプロモーション・ビデオとも言うべき Movement Nature Meant(DVD)があります。35分余りの時間内で基本的な動きが10レッスン分ほど収録されていています。
ほかにMia Siegal, Gaby Yaron, Chava Schelhav などの第1世代の指導者たちのものはいずれも貴重で豊かな内容のものばかりです。

Transcript
 録音などを基に内容を文書化したtranscriptが多数出されてます。A4レターサイズによる簡易製本のものが殆どですが、これらはレッスンをじっくり分析して考察するには最適の素材です。それらを基に自分自身のためのレッスンノートを作成することが、楽しくてたまらないという感じです。連載No.3の「レッスンを記述すること」に書いたように、一目で全体が分かるような書式に仕上げるにはそれなりの苦労がありましたが、その作業自体がイメージ練習として貴重な体験になりました。数多いTranscriptの中からいくつか厳選して紹介します。
1. Esalen Workshop ATM Notes
 1960年代後半から70年代にかけてカウンターカルチャーの震源地として余りにも著名なカリフォルニア州ビッグサーのEsalen Instituteにモーシェが登場したのは1972年のことでした。これは彼の最初のアメリカ訪問で、アメリカに於けるフェルデンクライス・メソッドの普及と全世界への波及の端緒を開いた記念すべきワークショップとなりました。この記録は参加者の一人Judith Stranskyがメモと録音テープを基に文書化したものです。英語版のほかに独、仏、西語版が出ています。
2. San Francisco FPTP(1976-77)Year2&3 (全7巻)
モーシェの最も実り豊かな時期に行われたFPTPの記録として、きわめて優れたものです。写真・イラストを多用したATMとFIの記録から成ります。2年度が288頁、3年度が2分冊で計690頁、細かい字でびっしり詰まっていて、優れた編集と充実した内容でプラクティショナー必読文献の一つと言えます。なお、このプログラムの1年目の記録は最近IFFから出ていますが、これはアメリカで行われた最初のFPTPとしてきわめて興味深い内容のようです。
3. Amherst FPTP Transcript 1980(3vols) 1981(9vols)
モーシェ最後のFPTPの記録で、彼はこのプログラムを完成することなく世を去りました。十数年前にAmherst Notesとして1981年度の簡単な記録が出ていましたが、新しく2001年から10年近い年月をかけて編集し、ほぼ完璧に近くプログラムの内容を再現したもので、その豊かな内容には圧倒される思いがします。これはまだ拾い読みをした程度なので、近いうちに時間をとってじっくり読み込むのを楽しみにしています。
4. Alexander Yanai Volumes (全11巻、各巻2分冊)
プラクティショナーの方ならばすでによくご存じの基本文献です。1940年代から70年代後半までの期間、モーシェが行った試行錯誤のプロセスが手に取るように分かる貴重な記録です。IFFのプラクティショナー・サイトには収録全レッスンの詳しい索引機能があります。キーワードを入れると、例えば"hand"と入れると、タイトルに"hand"を含む全てのレッスンをリストアップしてくれます。私は結構頻繁に活用しています。

その他の参考文献
モーシェ以外の指導者たちの著作も今はかなり多く出版さるようになりました。またフェルデンクライス・メソッドの周辺に位置するものなどを入れると、その目録は膨大なものになってしまいます。以下に私が眼を通したものの中から日本のフェルデンクライス関係者に役立ちそうなものをいくつかタイトルだけを上げておきます。
1. Ruthy Alon: Mindful Spontaneity(最近新版が出ました)[翻訳中]
2. Chava Shelhav: A Guide to Awareness Through Movement
3. Paul Linden: Comfort at Your Computer
4. Steven Shafarman: Awareness Heals
5. Frank Wildman: The Busy Person's Guide to Easier Movement
6. S.H.Nelson & E.Blades-Zeller: Singing With Your Whole Self
7. Kristin Linklater: Freeing the Natural Voice
8. Blandine Calais-Germain: Anatomy of Movement
(関連資料)
まだまだありますが、上げだしたらキリがありませんのでこの辺りにしておきます。今回取り上げたものは全てIFFFeldenkrais Resources のホームページで紹介されています。市販の書籍類はamazon.comなどで検索してみて下さい。詳しい内容紹介が出ているものもあります。

―以上は日本フェルデンクライス協会発行News Letter #21に掲載されたものに基づいています―
copyright 2010, Takeshi Yasui, FCJ
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プロフィール

安井 武

Author:安井 武
フェルデンクライス研究会主宰
FCJ(Feldenkrais Club Japan)
演出家(劇団俳優座)
IFF 認定 Feldenkrais Practitioner

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